席を譲らなかった若者-2

さて、おとといご紹介した「席を譲らなかった若者」という記事について。
http://rakudaj.seesaa.net/article/3130212.html
この記事に対するたくさんのコメントを、ザッとだが興味深く読んだ。
皆さんそれぞれにいろんな日常を送っている中で、日頃言いたかったことが、この記事に反応する形で流出しているんだと思う。
全体に、「○○の方が正しい」とか「私は○○の側に味方します」とか「どっちもどっち」とかいう形で、「どちらにより分があるか」が述べられているコメントが多い。
それぞれの立場によって見方は変わってくるわけだが、ネット上の活動をしているのは圧倒的に若い人が多いから、当然若者寄りの意見が多くなる。それはさっ引いて読まなければならない。
そんな若い人を中心にこの記事に対する反響が多いのは、現代社会が抱えている問題にどこかつながるものをみんな感じ取っているからだろう。
ちなみに私はと言えば、「どちらに分があるか」という議論に乗る気はない。
状況を詳しく知ることができないから判断できないからだが、強いて言うなら「どちらの側にも一理あるけど、どちらもうまくなかったかなあ?」というイイカゲンな答えになってしまう。
・・・
さて、私は最初にこの記事を読んだ時どう感じたか。
私は鍼灸院を開業している鍼灸師だが、この仕事は実はカウンセラーとしての要素が大きく、人の話をお聞きすることがとても重要になってくる。
その場合の「聞く」とは、言葉そのものだけでなく、その裏に潜む「気持ち」を聞こうとするのが特徴的かもしれない。
そんな私は、両者の「言葉そのもの」はもちろんのこと、その裏にある「気持ち」にフォーカスする。
(そういうコメントを書いている人は、意外に少ないように感じる。)
まず若者の気持ちを想像してみる。
そして感じるのは、「反論するのはよほどのことだったのだろう」ということ。
なぜそこまで反発を感じたか?
そこで私が気がつくのが、この高齢男性が「女性二人とハイキングに行って」ウキウキ気分でいること。
ここがポイント。
これは邪推でしかないのだが、この男性は女性二人のうちのどちらか、または両方に好意を抱いており、二人の前で「エエカッコしたかった」のではないか、と私は思ってしまうのだ。
「お年寄りなんだからそんな色気づいたことはことはありえない」などと考えるのは大間違いで、若かろうが年寄りだろうがそういうことには年齢は関係ない。
実際に臨床の場でも、きちんとお話をお聞きすれば、高齢者であっても少年のようであったり、少女のようだったりするものだ。
普段は自分のそういう部分は隠して、年配者の立場を演じて生きているだけのことだ。
・・・
つまりこの高齢男性は、
「うまくすればこの若者に席を譲らせて、女性二人に感謝されて、私は英雄だ。
そうでなくとも、若い頃の私だったら譲ったはずだと言い続けることで、ああこの人はこんな若者と違ってきちんと気配りができる人なんだなあという賞賛のまなざしを、女性二人から得ることができる。」
なんてことを考えていたんじゃなかろうか。
そして、「年配者の立場」を演じ続けるどころか、修譴鮃??僕?僂靴燭鵑犬磴覆い?
若者からしてみれば、目の前でそんな浮ついた気分でエエカッコされて、自分が悪者にされてしまったら、そりゃあ反発を感じるのも無理もないと思う。(もし席を譲る気が少しはあったとしても。)
場合によっては「ウルセー」のひとことも出てくるだろう。
そう、気持ちの主軸は「調子に乗るな」だったんじゃないかなあ。
そしてその場に居合わせたらくださんも、その気持ちに共感しちゃったんじゃないか。
だから、年金云々の議論には賛成しきれないのに気持ちでは若者を支持するという、複雑な感情に陥ったのではないか。
・・・
探してみると、そんな私の読み方と合致するコメントがあった。

ワタクシ、年寄りの立場からも一言。
「爺ちゃんがワルイ!」
連れの女性に前でかっこつけるのは、まだ若い証拠♪」
お兄ちゃんもホントはそこまで言いたくなかったと思うよ
だけど、大衆の面前で恥かかされる発言されたらキレルよねぇ
爺ちゃんの勘違い負けだね
Posted by 聖婆 at 2005年04月26日 23:17

これがドンピシャ、私は同感だ。
さすが同世代の方。(本当に同世代かどうかはわからないけど。)
高齢男性を自分とは別の人として見ずに、よく気持ちを理解していると思う。
こういうオジさんは、馴染みの小料理屋でママさんに「まあ、美女二人の前でそんなカッコつけて!」とたしなめられて、とたんに「いやあママにはかなわないなあ、全部お見通しか!はっはっはっお湯割りもう一杯!」・・・なんていうタイプだと思う。
・・・
それでは、そういう相手に対してこの若者は、どう対応すればトラブルにならず、かつ自分の気持ちもスッキリさせることができたのだろうか?
また続く(といいね)。